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執筆者の写真藤岡亜美

宮崎の山間地域に、世界農業遺産の村々をたずねる その1

友産友消の旅 tomotomo trip

コーヒーの森からしいたけの森へ

海幸山幸の神話の発祥地としても知られる、宮崎県の中山間地域。


美郷町、諸塚村、椎葉村では、森を暮らしや産業に、様々に使うことで活かしその生態系を守る取り組みが、世界農業遺産として認められています。

森つながり=フェアトレードのコーヒー生産地、エクアドルのインタグの森に育ったマルティンと、トモトモメンバーで、森を守りながらの椎茸栽培や、森の焼き畑農業など、ディープな日本をたずねました。


実は、エクアドルでお父さんたちがコーヒーを栽培している森で、茸の栽培をできないかと、密かに考えていたマルティン。(大学での研究テーマも茸!)

日本育ちの彼女のソニアと、共通の趣味は料理、美味しいものを食べること、そして、旅…!

旅で見つけた美味しいものは、家族や近所の仲間にも食べさせたいし、エクアドルの森でも茸づくりが、もう一つの地域の仕事になれば、現金収入をコーヒーだけに頼らなくてよくなるかもしれない。

出汁クイーンの椎茸レシピ

エクアドルと日本、私たち同世代の友産友消な妄想を伝えると、宮崎県では有名な出汁ソムリエの岡田光さんが、椎茸料理を教えてくれました。

椎茸は生も美味しいけれど、乾燥させることで、うまみがぐっと増します。さらに、昆布と干し椎茸を組み合わせれば、そのうまみは30倍にもなるなんて、びっくり!

美味しい干し椎茸の戻し方

少し天日干ししたあと、5℃の冷水につけて、3から5時間、冷蔵庫の中に。

レシピ:椎茸パテのつくりかた

フライパンにスライスしたにんにくを1かけ、たっぷりのオリーブオイルでいためます。香りが出て来たら、戻した椎茸の両面をソテー。岩塩やスパイスをお好みで。フードプロセッサーで、にんにく、椎茸を、細かくすりつぶしたら、できあがり!       

光さんは老舗の椎茸問屋の岡田商店のお嫁さん。この他にも、エビのかわりに椎茸を使ったナバチリなど、伝統とは違う新しいレシピで、椎茸の、とくに原木栽培を若い世代にも継承したい、という思いを伝える光さんは言います、

「椎茸の作り手の方々は、原木を育てる山に手を入れて、森を守っています。原木栽培は、人と自然が共存する栽培方法なんです。」。

椎茸の製造方法には、原木栽培と菌床栽培がある。

美郷町からさらに山奥へ、森林認証で知られる諸塚村、昔ながらの原木栽培を続ける日興川和志さんに会いにいきました。

原木栽培は、木に椎茸の菌を打ち付けて、森の中で育てる方法。木漏れ日も湿気を含んだ空気もみな、美味しい椎茸ができる要素です。

クヌギやナラの木を育て、椎茸ができるまでには、はじめてから、2、3年の年月がかかります。ちょうどよい水分を含んでいる時期を見計らい、木を切れば、茸の菌にとって居心地のよい環境に。

木に耳をあて、水の流れる音をきいて、その頃を見定めるそう。

マルティンとソニアは、ご夫婦2人でここまでの作業をやっているのにただただ驚いていました。         諸塚村の椎茸はこちらで買えます。

鏡で原木の裏側のひらき具合をのぞいて見るのがかわいい。

収穫するタイミングが早く、7分開きより前に採取するのをどんこ、もっとひらいてから収穫するのをこうしんといい、用途によって使い分けます。

一方、菌床栽培は、人工的におがくずを詰めた苗床に菌を植え付け、室内で育てます。湿度温度の管理をしながら、菌にとって居心地のよい環境を作り出し保つことで、3ヶ月ほどで完成。

森を活かし、森を守る。

市場に出回っている椎茸の7割り以上が、この菌床栽培によるものです。村の産業の要となる菌床栽培の仕事を担うのは、東京から移住し、この村で3人の子育てをしてきた若手リーダーの、高野晃成さん。

山の仕事だけでなく、神楽や消防団など、地域の暮らしまるごとを支えています。諸塚村は、椎茸栽培だけでなく、林業や、木の加工などを通じて森を使うことで、森を守る、その循環を上手く作り出しているモデルとして、世界にも認められています。

<<村長の表敬訪問の写真>>

マルティンが育ったインタグにも、世界にも類を見ない特別な熱帯雲霧林という森があります。彼が生まれたときからずっと、その森は、鉱山開発の脅威にさらされてきました。

その保護林のなかの家で育ったマルティン。家族と囲む食卓は、まさに森の中にあり、ハチドリなど無数の種類の鳥や多様な蘭、果物がある夢のような場所。

無農薬でのコーヒー栽培は、彼の家の庭から地域全体に広がり、地域を守る一つの産業の柱になりました。毎朝マルティンのお父さんがコーヒーをいれてくれ、近所のママたちも一緒に、母のサンディのレシピでお料理。

開発から森を守る山奥の村々のリーダーや、地域の新聞記者、先住民族の女性たちなど、国内外から、いろんな人たちが食材を片手にたずねてきました。

そんなマルティンとたずねた日本の森。椎葉村では、森の生態系をダイナミックに遷移させながら守る、焼き畑でとれた雑穀を使ったお料理や、岩についた茸、木の芽のお料理をいただきました。

焼き畑のなかに、大根の種を見つけるみんな

食卓を美味しく楽しく、くつろげる時間にすることが、そのまままっすぐコミュニティを豊かに保つことに、同じ態度のまま、つながっている。友産友消、それはみんなで囲むテーブルが、もう少し大きかったらと想像すること。

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