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執筆者の写真ワダアヤ

マシュピチョコレートの味の秘密2  和田彩子



マシュピにはたくさんのフレーバーチョコレートもあります。そのほとんどは日本にないフルーツたち。チョコレート製造責任者のアグスティーナさんが、農園を歩きながら、フルーツやスパイスを口にしたり、日常生活の中でふっと思い付いたものをチョコレートにして、試行錯誤して形にします。日本に輸出していないものもありますが、それも含めご紹介します!



<塩とカルダモン>


カルダモンは、しょうがの仲間で、世界中で古来様々な方法で使われてきた植物です。チョコレートにほんの少しの塩と混ぜることによって、口当たりのよいさわやかな風味を醸します。酸度の高い土壌では、カカオを植えることはできません。でもカルダモンは土壌の酸度を調整する役割も担ってくれるのです。塩はエクアドルの自然海塩を使用しています。



<カカオシロップ>

カカオを収穫した後、カカオのフルーツの果汁だけを集めて煮詰めたシロップは、柑橘類のような甘さと酸味を凝縮したよう。甘味料は一切入っていません。この蜜が採れるのはカカオの収穫期だけ。カカオ豆の風味とは別物でありながら、同じ木の作物のせいかその相性は抜群。パンやホットケーキにも良いですが、生姜焼きや煮物にも使えます。現地では、豚肉のソースにしていました!



<パッションフルーツと胡椒>


アグスティーナさんとアレホさんは、他の何人かの友人と、パルミートの単一栽培で荒廃した30ヘクタールの土地を共同購入しました。24ヘクタールは森の再生に、そして6ヘクタールは農業に使うための土地です。そこでエクアドル在来種のワイルド・パッションフルーツ、在来種のワイルド・ペッパー、ウコンを森林農法で育てるプロジェクトを始めました。このワイルド・パッションフルーツは普通のパッションフルーツよりも小粒ですが、実がぎゅーっと詰まっていて、味が濃いのが特徴です。



<マカンボ>



学名テオブロマ・ビコロールと呼ばれる、海抜900メートルまでの低地から見られる熱帯雨林で育つカカオの一種です。チョコレートを作るカカオよりも大きい中型から大型の木で、カカオ農園では、カカオに適度な影をもたらしています。熟すと薄緑色または柔らかな黄色になり、自然に落下します。中には黄色い仮種皮で覆われた約30個の大きな白い種があり、果肉は甘いのですが、強い匂いがあります。

チョコレートを作るカカオ同様、種の方を一般的に食します。生で食べることもできますが、焙煎して食べるのが一般的です。この種には24%ものタンパク質が含まれており、マメ科植物以外の種子としては非常に高タンパクと言えます。また抗酸化物質が豊富で、血圧の低下を促進します。脂肪分が多く、サクサクしていて、おやつとしても食されています。



<ブルネイチェリー>



東南アジアの熱帯雨林原産の樹木で、一般的に海抜0m〜600mで育てられています。皮には酸味があり、水と甘味を加えるとジャムやジュースができ、真っ赤な色のお酢もできます。アジアでは、その酸味からお酢の代わりにも使われます。チョコレートにはこの赤い皮の部分を発酵させたものを使っています。この皮には、マンゴスチンにも含まれる、がんなどの疾病や老化の原因といわれる活性酸素を除去し細胞の損傷を抑えるキサントンなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。このブルネイチェリーの木は、カカオと同じくらいの高さの木で、カカオ農園の境目に植えてあり、カカオの森の多様性に寄与しています。



<ウコン>


ウコンは、ショウガ科の多年生植物であるウコンの根に由来するスパイスです。 その主要な有効成分はクルクミンです。ターメリックの宝物はクルクミンの利点にあります。 クルクミンには抗酸化作用と抗炎症作用があります。森では、根を張り巡らすことで土壌を柔くしてくれる役割を果たしています。



<80%ローチョコレート>

高温に晒さないため、カカオ豆の中に含まれる鉄、亜鉛、マグネシウム、銅、ビタミンCなどの栄養素を熱で壊したり、変性させずに残すことができます。また高レベルの抗酸化物質が含まれているチョコレートには多少のカフェインが含まれていますが、低温処理することでカフェインの量を減らすことができるのです。



<サラックチョコ&ニブス、チョコバナナ>・・日本未入荷

乾燥したサラック、別名スネークフルーツ。皮が爬虫類の皮に似ていることからこの名前がつきました。りんごとパイナップルを混ぜたような味。マシュピでは、乾燥させたサラックにチョコレートをかけたもの。それからニブスと組み合わせたもの。それから農園でたくさん採れる本当に美味しいバナナチョコも登場しました。口淋しいときのおやつに最適!



<ワヤビージャ>・・日本未入荷


別名、サンドロップフルーツ。本当に太陽の雫のような鮮やかなオレンジ色をしたフトモモ科のフルーツ。この地域原産のフルーツで、この名前を冠した村も近くにあります。酸味と香りが強くジューシーなフルーツで、チョコレートには乾燥したものを使います。マシュピが最初に作ったフレーバーチョコ。


<カラマンシー>・・今季は日本に入荷せず


カラマンシーは、香りの強い柔らかな薄い皮に包まれた柑橘類です。実よりも皮が甘いという不思議なフルーツ。チョコレートにその皮を使うことによって、柑橘類の香りを与えます。花の季節には、農園はカラマンシーの香りでいっぱいになります。東南アジア原産と言われるフルーツですが、World Agroforestry Network現地の他の植物を駆逐しない外来種と認定されているので、この農園でも植えています。


<コーヒー>・・日本未入荷

チョコレート製造責任者のアグスティーナさんと販売責任者のマヌエラさんのお父さんが私設の保護区「インティジャクタ(キチュア語で「太陽の国」を意味する)」で作った標高が高いところでできた有機コーヒーを使ったチョコレート。このチョコレートの特徴はなんと言っても、コーヒーとカカオの使い方。普通のコーヒーチョコは、チョコレートにコーヒー豆を砕いたものが一般的だと思いますが、このバーの茶色はコーヒーのもの。コーヒーにカカオバターとキビ糖を混ぜたという不思議コーヒーチョコなのです。


<カカオニブス>・・日本未入荷

ニブスとは、カカオ豆を焙煎し、砕いたもの。チョコレートに混ぜることによって、さらにカカオの風味と香ばしさが深くなりました。抗酸化作用もアップ。


<チョチョス>・・日本未入荷

アンデスの先住民族の人々にとって、チョチョスはカルシウムなどの重要な栄養源として、古来食されてきました。粉末状にしたチョチョスをチョコレートに混ぜたことで、ミルクのような風味が加わりました。山岳地方の女性たちの生産者組合から購入しています。



森を歩いて、カカオの木、花、実を見ながら、果実を食べたり、作りたての美味しいチョコレートを賞味できるのは、現地スタッフの特権ですが、さらにワクワクなのは、商品になっていないものを試せること。これから商品になって、そのうち日本の皆さんにお届けできる日が来るかもしれません。その中で、これすごく美味しい!!と私が興奮したのは、ブルネイチェリーのお酢(酵素水)です。今年から、新しいフレーバーとして日本に輸入されたブルネイチェリーは発酵させてありますが、その際にできる副産物というわけです。これを炭酸水で割ったり、ドレッシングに入れたりしていたら2リットルくらいあっという間に使ってしまいました。


マシュピチョコレートのフレーバーにはストーリーがいっぱいです。またバーではないチョコレートもあります。日本に輸出していないフレーバーはぜひ現地に来てお試しくださいませ。





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