こんにちは、矢野宏和です。
今日は朝から森で作業をしているのですが
鳥の鳴き声の種類が、ずいぶん増えたようです。
聞き分けができるようになるといいのですが。
さて、なまけものしんぶん、楽しく、
そして素晴らしいですね。
少しずつ、読み進めているのですが、
イノユリさんの助産院のお話、深く
共感しました。
なんといっても、産後に食べておられた食事の
写真が、どうにも懐かしく、愛おしく。
私の4人の子どもたちも、助産院での出産
でした。(むなかた助産院 賀久はつ先生
著書に「いのちをつないで」など)
生まれたての赤ちゃんとの関わり方が変化
したのは、3人目の長女、真央(マナカ)の
出産に際してのことでした。
国際モンテッソーリ教師の深津高子さんから、
「共生期間」のことを教えていただき、
生後8週間、赤ちゃんとお母さんが水入らずで
安心して一緒に過ごすためのサポート役を、父
として、私が担うことになったのでした。
サポートといっても、それはもう掃除、洗濯
家事、育児、そして食事作りで、ひたすら妻と、
初めての女の子に尽くし、捧げる8週間の日々。
なかでも、食事は母乳と直結するわけで、これは
責任重大と意気込んだのですが、むしろ直結する
が故に、イメージがしやすかった、というか。
イノユリさんも書かれていましたが、母乳は血液。
だから、母体に取り込まれた後、きれいな血液が
さらさらと流れていくような、そんな食事を思い
浮かべて作ってみると、自ずとシンプルなものに
なっていきますね。
調理は、分厚い昆布を鋏で切るところから始まり、
里芋やゴボウ、ニンジンなどの根野菜を切り刻み、
同時進行で圧力鍋で玄米を炊いて、梅干しや納豆
もきちんと器に入れて、お膳に盛り付ける。
母乳によって形成される、神秘的な母子のあいだ
に、唯一関わることができる、それら家事全般は、
私にとっては尊くも厳かな儀式のようでもあり、
本当にしあわせな体験でした。
あるとき、布おむつを干していた時のこと。
幸福感と言ったらいいのか、不思議な力が
唐突に体中にあふれてきて、堪えきれず、涙が
止まらなくなってしまったこともありました。
布おむつ片手にオイオイ泣く男の姿というのも
ビジュアル的には厳しいものがあるのですが、
私にとっては大切な思い出となっています。
ただ、料理に関しては、辛い思いでもあり・・。
1度、大きな失敗をやらかしてしまいました。
一人暮らしの頃からの習性で、つい残りものの
煮物に、カレーのルーを入れてしまったのです。
たまには、カレーもいいかな、と。
で、それが母乳を通してマナカの口に入った途端、
「ああた、なに、わたしに食べさせてんのよ!」と
言わんばかりに、怒って、泣く、泣く。叫ぶ。
私は土下座して、「ヒラに~、どうかヒラに~」
と、許しを請う。
マナカは烈火のごとく泣き叫び、それでも
おっぱいを飲み、でもやっぱり「ま~ず~い」
と再び泣く。飲んでは泣いての繰り返し。
その様子がおかしくて、笑いをこらえていると、
「ああた、なに笑ってんのよ」と、マナカは私
の方をキッと睨み付けてくる(ように見えた)
のでした。
こうして、一夜にして娘マナカ(4月からは中学生)
と私とのあいだに、アイガー北壁のような粛然とした
上下関係が形成され、今日に至るわけでございます。
それはさておき、これからパパになろうとする男性
の方々には、ぜひ一度、この8週間の共生期間におけ
るサポートの実践をお勧めしたいと思うのです。
母と乳児の間で、体や手を動かすことを通して
自分のなかにある、ジェンダーや二元性をも超える、
不思議な力(愛、もしくは母性?)と出会える機会
を得るかもしれません。
共生期間についての定義は、下記をご参照ください
:::::::【共生期間】::::::::
赤ちゃん誕生後8週間の期間を指し、
母子が相互に有するものを与え合う
非常に重要な時期。
この期間中に、その子どもの愛の
許容量が決定づけられるほど大事
な時期。
母子がしっかりとした愛着関係を
築けるよう、二人を守り家事を手
伝う父親の存在、またはほかの援
助者が不可欠である。
以上、
「デチタ でチた できた!
家庭で出来る、いのちが育つお手伝い」
本書にでてくる主なモンテッソーリ用語集より
おむつを干しながら、涙する父性。素敵です♥赤ちゃんと一緒の生活は身を削るようで大変ですが、愛おしさに溢れ、父母は日々一生懸命ですよね。助産院での出産がもっと増え、生活の中にお産があり、出産後も皆で協力して産み育てることが当たり前となれば、またとない経験をシェア出来て、人の絆が深まりそうですね。