突然ですが、私の夢は、「学校をつくる」ことです。学生時代、辻ゼミで学ぶことと、教職課程で学ぶこと、塾のバイト経験、それぞれの間のギャップが大きくて悶々としつつ、卒業後は、進学塾の教師として働いていました。
でも、やっぱり疑問は大きくなるばかり。そんな中、久々に再会したナマケモノ倶楽部のメンバーと、日本の学校教育の問題について話していた時、宇宙塵に「自分でつくればいいんだよ〜」とニコニコしながらツッコまれて、ハッとしました。
それから12年が経ち、いま少しずつ、(本当にゆっくりとですが)動き始めています。
昨年の秋に、ドキュメンタリー映画『夢みる小学校』の自主上映会を、仲間と共に主催しました。
『夢みる小学校』には、辻さんや、高橋源一郎さん、茂木健一郎さんや尾木直樹さんがコメンテーターとして出演されていて、それぞれの視点から見る「学校」や「教育」が語られます。そして、その語りを実証していくかのように、次々と映し出されていく、「南アルプス子どもの村小中学校」の子どもたちの生き生きとした表情と、先生(おとな)たちの、子どもへの眼差し。
メッセージ性の強い映画ですが、公立の小中学校の事例も紹介しつつ、一概に学校を批判するのではなく、”公立校でできること”、”新しく場をつくること”、”大人と子どもの関係性を見直すこと”、など、映画を観た一人ひとりが、日常に落とし込んで実践に移せるような、ヒントや問いが、たくさん散りばめられています。
私が自主上映を決めたのは、2021年の秋でした。
自主上映が解禁されるまでの間、小さな勉強会やお話し会を何度か重ねました。
昨年の夏には、九州を旅していた辻さんを、鹿児島に迎えて、教育について語り合う場を設けました。
そこに参加した方が、今回の自主上映会の運営メンバーになってくれたり、別の場所での自主上映を企画したりと、同じ時間を過ごした仲間の活動が、広がっています。
自主上映に先立ち、劇場公開されたので、まずは映画館に観にいきました。
(鹿児島には、「ガーデンズシネマ」という、小さいけれど素晴らしいコミュニティシネマがあるのです。この話もいずれ書きたいと思っています)
予想通り感動的な作品でしたが、実際に学校をつくろうと夢みている身としては、自分が抱える様々な課題が脳裏をよぎり、焦る気持ちが大きくなりました。
実は、自主上映の目的の一つに、”学校づくりの仲間集め”というのがありました。
でも、自分は旗振り役になれるのか、映画に出てくるような学校は、ある種理想的だけれども自分には到底無理なのでは、という不安が襲ってきました。
映画を通して、私はどんなことを伝えたいのか。上映会が終わった後、何をすればいいのか。
悩みながら手にとった本が、『ゆっくり小学校』でした。サティシュさんが初めにつくった、「スモール・スクール」のことが載っていて、それを読んで、ふっと肩の力が抜けたような気がしました。できることから始めればいいんだ、やりたいことをすればいいんだ、子どもたちと一緒に作っていけばきっとうまくいくはず、と。
自主上映の告知に使うInstagramの名前を、「smallschool.kiri」にして、上映会の後、いつになるかはわかりませんが、私も、自分の暮らすこの地に、スモール・スクールを作れたらいいな、という願いを込めました。
そして迎えた上映会。予想を遥かに超える関心が集まり、一時はキャンセル待ちが続出するほどでした。当日は、赤ちゃんから大人まで、約220名の方に参加していただきました。上映後のシェア会や、アンケートには、たくさんの熱い想いが溢れていました。映画に関心を寄せている方の多くは、学校や教育に対して、何かしら疑問を抱えているようでした。それがすぐに解決するわけではないのですが、それぞれの場とタイミングで、何かアクションを起こしてくれるのではないかと期待しています。
上映会を通して、また仲間が集まり、私自身も次の一歩を踏み出すことになりそうです。この続きはまたいつか。
実行委員20人分のネームを、子どもたちが一つひとつ作ってくれました。
他にも、たくさんお手伝いしてくれて、子どもたちもとても頼もしいスタッフでした。
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