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執筆者の写真ワダアヤ

Bird Friendly Chocolate 和田彩子



引き続きエクアドルからワダアヤです。私がマシュピのカカオ農園「マシュピ・シュンゴ(Mashpi Shungo=キチュア語でマシュピのハートという意)」にお邪魔するようになって6年くらいが経ちましたが、行く度にびっくりすることがあります。


いつぞや何かの雑談をしていた時のことですが、チョコレート作り担当のアグスティーナが、

「そういえば、アレホ(アレハンドロの略)がXXXと友達になったって話、したっけ?」と言い出しました。

私はその「XXX」が理解できず、

「え?誰と友達になったって?」と聞き返したら、

「アレホがある鳥と友達になったの。」

「鳥?」

「鳥。」

「鳥?」

「だから鳥だって。」

鳥と友達になれるの?

カカオ栽培担当のアレハンドロさんは、現役のバードウォッチャーガイド。元々コスタリカ出身の彼ですが、しょっちゅうコスタリカだの、コロンビアだの、ブラジルだのに、バードウオッチングのガイドに行っています。だからいわば野生の鳥のプロですが、しかし友達って?



翌日、アレホはコオロギを捕まえに行きました。そしてそのコオロギをお弁当箱に入れて、山の方へ行こうと言うのです。30分くらい山道(農園内)を歩いたでしょうか。そのコオロギを出して、茂みに向かって、チョッチョッピーピロリロリと音とたてるのです。そうしたら本当に一羽の茶色い鳥さんが出てきたのです。アレホが差し出すコオロギをパッと取って、少し後退りする。またコオロギを差し出す。また取って後退りする。それの繰り返し。手に乗ることこそありませんでしたが、確かにそこにはコミュニケーションがある…!と私は本当にびっくりしました。餌付けと言ってしまえばそれまでなのですが、野生の鳥に近づこうとしているその姿勢は、アレホの印象を象徴しているように思えました。彼はこう言いました、「毎日訪れてくれるオニハシ、フウキンチョウ、ハチドリ、カエルたち、そし時折夜に『いびき』をかくヤマネコたちも自分たちを惹きつけてやまないんだ」と。


アレホさんとアグスティーナさんは、購入時、ほとんど牧草地だった土地56ヘクタール(ha)のうち46haを森として、再生する活動を開始しました。意識していたのは、「自然遷移」。自然遷移とは、「『植物群落を構成する種や個体数が時間に伴い変化すること』、端的にいえば、『裸地から森林が形成される過程のこと』」(森林・林業学習館HPより)です。つまり森が人間の手を加えずに形成される様を模倣しながら、森作りをしていくこと。そして植林というのは、単に木を植えることではなく、全体的で有機的な森を形成するお手伝いをするということ。森から様々な種や苗を採取し、高低差を最低4段階あるように植えていき、森の再生に努めました。最初は18種類ほどの木々しか生えていませんでしたが、5年後、分かる範囲で50種類、増えた木々から、風や虫、鳥たちがまた種を運び、草類は12種類から23種類まで増えました。鳥類は54種類から5年後には156種類、そして昨年の時点で206種類まで増えていったのです。


先月、マシュピからオンライントークのお手伝いをさせていただきましたが、ちょうどこちらの夜明けの時間帯。鳥たちが目覚め、餌を求め飛び交う時間帯で、その間、アレホは私に、メッセージで、鳴き声の聞こえた鳥を全部リストアップして送ってくれていたのです。

それがこちら👇:


ニショクキムネオオハシ

エクアドルジツグミ

イエミソサザイ

カンムリシャクケイ

ムジボウシインコ

マミジロイカル

ワライハヤブサ

ニッケイカザリドリモドキ

クビワヤマセミ

クビワヤマセミ

チャミミウズラ

シマガシラオニキバシリシマガシラオニキバシリ

ホオグロミヤビゲラ


ちなみにご丁寧に全部和名で送ってくれました。


どうしてこのチョコレートが「森へのチケット」なのか。どうぞ鬱蒼と木々が繁る森、鳥や虫、蛙たちの合唱の中、たわわに実るカカオを想像してみてください。そしていつかマシュピの森に遊びにきてください。



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